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今,ビューグルを選択するということ

「なぜ,ずっとビューグルを使っているのですか?」 かつて,それは憧れの存在でした。 ドラムコーの本場,アメリカで使用されている楽器。 吹奏楽等で使用されるものとは違う,マーチング専用の楽器。 名演の系譜を受け継ぐ楽器。 私がJOKERSで初めてビューグルを手にしたのは,奇しくもbugle onlyのDCIが終わりを告げた,1999年でした。 それまで吹奏楽部に在籍していた自分は,ビューグルを手にしただけで何か演奏が上達したような気がしたものです。 ようやく彼らと同じ土俵に立ったと感じていました。

その1年後,ミレニアムの声と共にDCIにてマルチキーブラスが解禁され,新しい時代が始まりました。 (同年に,ビューグルを使用したキャバリアーズと,マルチキーを取り入れたキャデッツが偶然にも同点チャンピオンになったのは象徴的です) それ以降,毎年のようにビューグルを使用する団体は減少を続け,2004年にはDCIファイナルにてビューグルの音を聴くことはできなくなりました。 それから10年以上が経過した現在,JOKERSのように頑固にビューグルを使用している団体は,少数派へと立ち位置を変えました。 DCIに代表されるようなドラムコー活動に勤しむJOKERSにとっては,ビューグルを使用することの後ろ盾を失った状態であると言えます。

「なぜ,ずっとビューグルを使っているのですか?」 一つ,楽器を買い換えるお金が無い。 一つ,惰性で使っている。 一つ,単なる懐古主義…。 どの答えも,一面の真実を含んでいます。 しかし,JOKERSのアイデンティティの中心であるビューグルを使用する理由は,そのような消極的なものではありません。

確かに,ビューグルはG調であるので,管が長く,そのため音程が合いにくくなっています。 当然,吹奏楽で使用する楽器よりも重くなります。 また,管が長いということは,それだけ吹き込む息の量が増えるということです。 これを歩きながら吹く訳ですから,一見合理的では無いように思います。 ですが,ビューグルを演奏することで得られるものがあるのも事実です。 管の抜き差しだけではなく,演奏者がそれぞれ唇で音程を調節する必要があるので,音感が鍛えられます。 管が長いため,きちんと音を鳴らそうとすると,当然太くてスピードのある息を多量に吹き込む必要があります。 結果,遠くまで美しく響く音を鳴らすことになります。 私自身も,B♭調の楽器を吹いている時よりも,繊細に楽器と身体の状態に向き合うようになりました。 少しの乱れが音の乱れに直結する…ビューグルとは,難しい楽器ですが,その要求に真摯に向き合い続けることで,金管楽器全般の吹奏技術の向上が期待できるのです。

皆さんは,ビューグルコーの作る音を聴いたことがありますか? 我々は,知っています。 しっかりと息を吹き込んだときの太いビューグルサウンドを。 じゃじゃ馬を手懐け,チューニングを合わせたときの深い倍音の響きを。 タンギングを明確すぎるほどに伝えてくれる,ソリッドな輪郭を。 まるで胃の腑を掴まれるような,圧倒的なトゥッティを。 ビューグルを身体に慣らした先にあるご褒美は,何にも代え難い魅力を放っています。

今,様々な理由で,ビューグルは姿を消しつつあります。 フロントベル&ピストン以外の楽器との親和性や経済性などを考慮に入れるならば,ビューグルが廃れるのは必然と言えるでしょう。

しかし,JOKERSは考えます。 果たして,ビューグルの可能性は尽きたのかと。 全ての鉱脈は掘り出され尽くしたのかと。 1999年にサンタクララバンガードが演じたバーバーのアダージョ。 1975年のマディソンスカウツのファーストヒットのインパクト。 1997年にキャデッツが披露した超絶技巧。 1992年ブルーデビルズの,輝くような響き…。 数々の名チームが発見した音を全て兼ね備えたビューグルコーは,未だ存在しないのではないかと。 であれば,我々はその音を目指したい。 幸い,日本には,JOKERSと志を一にしたビューグルコーが多数存在しています。 今,ビューグルの歴史は,日本において新たな局面を迎えていると思うのです。

「なぜ,ずっとビューグルを使っているのですか?」 我々JOKERSは,挑戦を続けたいと考えています。 だから,ビューグルを吹き続けているのです。

皆さん,JOKERSビューグルラインに参加してみませんか? JOKERSビューグルラインには,金管楽器経験者の方はもちろんですが,木管楽器しか経験が無いメンバーや,そもそもほとんど楽器を触ったことがなかったメンバーも在籍・活躍しています。 我々は,未だ見ぬ皆さんと一緒に音楽を作りたい! 是非一緒にビューグルの魅力を味わいましょう! JOKERSでは2016年度メンバーを全パート大・大・大募集中です!! 現在JOKERSでは,下は高校生から上は五十歳代まで,幅広い年齢のメンバーが活躍してくれています。 年齢も住んでいる地域も経験も違うメンバーの共通点はたった一つ。 ドラムコー・JOKERSが好きであるということ!! 未経験・ブランク,なんのその。JOKERSは,皆さんの力を求めています。 ぜひ一度,見学にいらして下さい。誰よりも充実した日曜日と,筋肉痛に襲われる月曜日をお約束します!! そして,今シーズンを共に友として歩きましょう!! 次回練習・リハーサル・見学日は4月24日(日),まだまだ見学は可能です!! Contrabass 山本

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