最後の瞬間。 フロアに大きく寝転んだメンバー達の目には何が映ったのでしょうか。
大会では、ショーを披露する時間に制限があるために叶わなかったのですが、全国大会以後のショーのエンディングでは、メンバー全員がフロアに寝転んで、ゲームオーバーを表現しました。
そこは、徳島県日和佐総合体育館。 今年度のJOKERSの最期の場所。
我々JOKERSは、Indigoesさんの20周年記念コンサートにてラストショーを披露するという幸運に恵まれました。 一般マーチングファンの皆さんは、JOKERSとIndigoesという二つのドラムコーが、お互いをお互いの演奏会に招待するほど仲が良いのはなぜか?と疑問に思われるかもしれません。
JOKERSとIndigoesさんとの関係の始まりは、今から約20年前に遡ります。 Indigoesさんがチームを結成され、初めてマーチングイン岡山に出場された年。 偶然にも、我々JOKERSとIndigoesさんは、同じ旅館で夜を過ごしていたのです。 当時のJOKERSのメンバーが、現在もいらっしゃるIndigoesのメンバーにそこで声をかけました。 「なんていうチームなんですか?よかったら一緒に飲みましょう!」
お互いドラムコーが大好き!な人達ですから、打ち解けるのにさほど時間はかかりませんでした。 それぞれのチーム事情。 好きなDCIのチーム。 どんなショーを作っているか。 好きな酒とつまみは何か。 たくさん語り合いました。
その一夜以来、我々JOKERSとIndigoesさんは、親友となりました。 大会で顔を合わせる度に再会を喜び合い、メンバーの結婚式にも出席し、ショーを盛り上げ…。 そして、現在に至るまで、マーチングイン岡山初日の夜には、JOKERSとIndigoesさんのメンバーが集まっての飲み会を続けているのです。
出会いから20年も経てば、チームに参加しているメンバーも変化しています。 しかし、どちらのチームにも、当時からずっと参加しているメンバーがいたり、交流を通じて新たな仲間との関係ができたりしながら、20年間を過ごしてきました。 お互いのショーを披露し合い、讃えながら、影響を受け、また次の再会を楽しみにする。 自分たちが練習している日曜日には、あちらのチームも同じように大好きなビューグルを吹いている。 そうやって我々は、瀬戸内海を挟んで友情を深めてきたのです。
2017年度JOKERSの「GAME」は、そんなIndigoesさんの演奏会にて、めでたく最期の時を迎えました。
我々JOKERSは、一年間を共に過ごしてきたショーに別れを告げました。 JOKERSが大会で披露するメインショーは、完全オリジナルです。 ドリルや大道具・小道具類だけでなく、使用楽曲の全てが、メンバーによるオリジナル曲で構成されています。 ですから「今年のJOKERS、この曲するんや!」ということはありません。 逆に、今年度の演目が、他の誰かによって演奏演技されることもまた無いのです。 このショーとは、今後もう誰も出会うことはない。
JOKERSは、それを「葬り去る」と表現します。
沢山の思い出があるショー。 毎週繰り返し頭と身体に叩き込んだショー。 沢山の笑顔と拍手をもらったショー。 でも、もうお別れの時間です。 悲しいけれど、終わりにしよう。 きりがないから。
JOKERSのメンバー達は、それぞれ置かれている環境が違います。 JOKERSには、特定の学校・団体などの支持母体がないため、参加メンバーは非常にバラエティに富んでいます。 高校生・大学生・専門学生に社会人。 16歳から50代まで。 また、参加に際して特別な資格はありません。 「JOKERSで歩いてみたい」という気持ちさえあれば、全員がメンバーになれます。 本来なら出会うことがなかったはずのメンバー達。 そんな我々が最後に見た日和佐総合体育館の天井の景色。 それは、きっと全く同じ黄色いものだったはず。 それはきっと、すごく素敵なことだと思うんです。
オカンとまーくんと、その物語を表現したメンバー達は、3月11日をもって、それぞれの日常へ帰っていきました。 2017年度のJOKERSを応援して下さった皆さん、本当にありがとうございました。
2017年度メンバーのみんな、JOKERSを選んでくれて本当にありがとう。 今年も、一生忘れ得ない思い出ができました。 また次のシーズンも、共に歩けることを願って。
そして、観客席でJOKERSを応援して下さった皆さん。 沢山の笑顔と拍手と声援をありがとうございました。 GAMEには、それを動かすプレイヤーが不可欠です。 それは、他でもない観客の皆さんです。 皆さんがいなければ、このショーは成り立ちませんでした。 本当にありがとうございました。
ぜひ来シーズンは、共に同じフロアからの景色を見ましょう! メンバー一同、皆さんのお越しを、心よりお待ちしております!
コントラバス 山本昌範